シビュラの託宣
ギリシア語の詩集 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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この項目では、キリスト教徒らが作成した黙示文学について説明しています。古代ローマ神殿に奉納されていた神託集については「シビュラの書」をご覧ください。 |
『シビュラの託宣』(シビュラのたくせん、ラテン語: Oracula Sibyllina)は、シビュラが語った神託をまとめたと主張するギリシア語の詩集である。重複分を除けば12巻分と8つの断片が現存している。
シビュラとは恍惚状態で神託を伝えた古代の巫女で、彼女たちの神託をまとめた書物としては、伝説的起源を持つ『シビュラの書』が有名である。しかし、『シビュラの託宣』はそれとは全く別のもので、『シビュラの書』の名声にあやかるかたちで紀元前140年以降少なくとも数世紀にわたり、ユダヤ教徒たちやキリスト教徒たちによって段階的にまとめられてきた偽書である[1]。そこに含まれる歴史的事件に関する予言の多くは、後述するように単なる事後予言に過ぎない。
この文献は部分的に旧約偽典や新約外典に含まれ[2][3]、古典時代の神話だけでなく、グノーシス主義、ギリシア語を話すユダヤ教徒たちの信仰 (Hellenistic Judaism)、原始キリスト教などに関する貴重な情報源の一つとなっている。分類上は黙示文学に属し、散りばめられた詩句には、『ヨハネの黙示録』や他の黙示文学との類似性が指摘されているものもある[4]。