ウクライナのロシア占領地域
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ウクライナのロシア占領地域(ウクライナのロシアせんりょうちいき)は、ロシア・ウクライナ戦争の過程で現在ロシアによって支配されているウクライナの地域である。ウクライナの法律では、これらの地域は「ウクライナの一時的被占領地域」(ウクライナ語: Тимчасово окупована територія України)と定義されている。
ロシアによる占領は2014年から始まっており、同年にロシアはクリミア半島に侵攻し同地を併合し(ロシアによるクリミアの併合)、ウクライナ東部での戦争(ドンバス戦争)でドンバスの一部地域をロシアが事実上占領した[1][2]。2022年、ロシア軍は本格的なウクライナ侵攻を開始し、同国内のより多くの地域を占領することに成功した。しかし、ウクライナの激しい抵抗が続いており、さらに兵站上の問題も抱えていたことから[3](例:キーウのロシア軍車列の停滞)、ロシア軍は4月初旬にチェルニーヒウ、キーウ、スームィ、ジトーミル州からの撤退を発表した[4]。
2022年9月初旬、ウクライナ軍はハルキウ地域での反転攻勢を成功させ、前線での数カ月にわたる膠着状態に終止符を打ち、大敗を喫したロシア軍は撤退を余儀なくされた[5]。そしてウクライナ軍は南部での反転攻勢でも11月11日にヘルソン市を奪還する大きな成功を収めた。
2022年9月30日、ロシアは主張する領土の一部しか占領していないにもかかわらず、ドネツク州、ヘルソン州、ルハンシク州、ザポリージャ州の併合を発表した(ロシアによるウクライナ4州の併合宣言)。 併合宣言に対し、国連総会は、この併合を不法なものとして拒否し、ウクライナの領土保全の権利を支持する決議を採択した[6]。
2022年以前、ロシアは4万2000平方キロのウクライナ領土(クリミア、ドネツクとルハンシクの一部)を支配しており、2022年3月の全面侵攻以降は更に11万9000平方キロの領土を占領し、合計でウクライナ領土のほぼ27%にあたる16万1000平方キロを占領した[7]。戦争研究所(ISW)は、11月11日までにウクライナ軍が7万4443平方キロの地域をロシアの占領から解放したと計算し[8]、ロシアの支配地域はウクライナ領の約18%に減少した[9]。