カーター版ネクロノミコン
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クトゥルフ神話の架空の文献「ネクロノミコン」のうち、アメリカ合衆国の作家リン・カーターが創造したものについて解説する。
リン・カーターの『ネクロノミコン』(原題:英: The Necronomicon:The Dee Translation)は、「ネクロノミコン」を創作した作品である。翻訳ジョン・ディー、注釈リン・カーターという体裁をとる。歴史パートと魔術パートで構成される。神話の第二世代作家であるラムジー・キャンベル、ブライアン・ラムレイ、リチャード・L・ティアニーなどの設定が取り込まれている。
晩年のカーターは病を患い、趣味のために作品を書くようになり、「ネクロノミコン」や「エイボンの書」を自ら創造する試みに着手した[1][2]。内容は断片的に発表され、1988年のカーターの死により未完に終わる。最終的に、1996年にまとめられて発表された。
森瀬繚は、カーターが体系化したクトゥルフ神話の設定の集大成と評する[3]。ドナルド・タイスンは本作などのネクロノミコンに不満があり、自ら新たに『ネクロノミコン アルハザードの放浪』を手がけた。サンディ・ピーターセンの『クトゥルフ神話TRPG』は、カーター神話を意識しつつ、さらに独自の体系化を試みたものとなっている[4]。