ブラックドッグ (亡霊)
ウィキペディア フリーな encyclopedia
ブラックドッグ (black dog) は、イギリス全土に伝わる黒い犬の姿をした不吉な妖精のこと。ヘルハウンド (hellhound)[1]、黒妖犬とも[2]。
たいていの場合は、燃えるような赤い目に黒い体の大きな犬の姿で[3]、夜中に古い道や十字路に現れる[4]。
16世紀イギリスの劇作家シェイクスピアの『マクベス』の作中で魔女が言及する、「魔女の女王である地獄の女神ヘカテーの猟犬たち」がそのイメージの根源と考えられている。 ヘカテーは中世以降のヨーロッパで「松明を掲げて犬を従え、夜の三叉路に現れる」とされ、魔女が信仰していると考えられていた。
ヘカテーの本来の姿は古代ギリシアの新月の女神であり、その眷族には犬や狼が挙げられる。月のない夜を象徴するヘカテーの従者は、当然ながら黒い色で想像された。ヘカテーは再生と共に死も司る女神であり、彼女に従属するブラックドッグたちは、死の先触れや死刑の執行者としての側面を持つ[5]。