ロフェコキシブ
COX-2選択性の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID) / ウィキペディア フリーな encyclopedia
ロフェコキシブ[1](Rofecoxib)は、COX-2選択性の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。変形性関節症、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、急性疼痛、片頭痛、月経困難症などの治療薬として、メルク社により販売されていた。ロフェコキシブは、米国では1999年5月に米国食品医薬品局(FDA)により承認され、「Vioxx」、「Ceoxx」、「Ceeoxx」のブランド名で、錠剤や経口懸濁液が販売されていた[2]。日本では承認されていなかった[3]。
IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
発音 | [ˌrɒfɪˈkɒksɪb] |
販売名 | Vioxx, Ceoxx, Ceeoxx, others |
胎児危険度分類 |
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法的規制 |
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投与経路 | By mouth & i.m |
薬物動態データ | |
生物学的利用能 | 93% |
血漿タンパク結合 | 87% |
代謝 | liver |
半減期 | 17 hours |
排泄 | bile duct/kidney |
識別 | |
CAS番号 | 162011-90-7 |
ATCコード | M01AH02 (WHO) |
PubChem | CID: 5090 |
IUPHAR/BPS | 2893 |
DrugBank | DB00533 |
ChemSpider | 4911 |
UNII | 0QTW8Z7MCR |
KEGG | D00568 |
ChEBI | CHEBI:8887 |
ChEMBL | CHEMBL122 |
化学的データ | |
化学式 | C17H14O4S |
分子量 | 314.36 g·mol−1 |
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ロフェコキシブは、関節炎をはじめとする慢性および急性の疼痛を伴う疾患の治療に携わる医師の間で広く使用されていた。全世界で8,000万人以上の患者がロフェコキシブを処方されていた[4]。
2004年9月、メルク社はロフェコキシブを自主的に市場から撤退させた。その理由は、長期にわたる大量の使用により心臓発作や脳卒中のリスクが高まることが懸念されたためである。メルク社は、ロフェコキシブのリスクに関する情報を5年以上にわたって医師や患者に開示せず、その結果、88,000〜140,000件の重篤な心臓病が発生したとされており、この薬を撤回せざるを得なくなった[5]。ロフェコキシブは、これまでに市場から撤退した医薬品の中で、最も広く使用されている医薬品の一つであった。撤退前の1年間で、メルク社はバイオックスから25億米ドルの売上高を得ていた[6]。
2005年に米国FDAは、大規模な長期対照臨床試験のデータから、COX-2選択薬(ロフェコキシブを含む)が非選択的なNSAIDよりも重篤な心血管イベントのリスクが高いことを明確に証明していないと結論づけるメモを発表した[7]。FDAは2015年にこの立場を強化し、「入手可能なデータは、COX-2選択性NSAIDと非選択性NSAIDの重篤な有害心血管イベントのリスクが増加するという用量および期間に依存するクラス効果[注 1]を支持している」と述べた[8]。
2017年11月、マサチューセッツ州に本拠を置くTremeau Pharmaceuticals社は、血友病性関節症(HA)の治療薬としてロフェコキシブ(TRM-201)を市場に戻す計画を発表した。Tremeau社は、TRM-201について、FDAがHAの治療薬としてオーファン指定をしたこと、また、開発計画についてFDAからフィードバックを受けたことを発表した[9]。