浄ノ池特有魚類生息地
ウィキペディア フリーな encyclopedia
浄ノ池特有魚類生息地(じょうのいけとくゆうぎょるいせいそくち)とは、静岡県伊東市和田1丁目にかつて存在した、国の天然記念物に指定されていた小さな池である[† 1]。
水面面積わずか15坪のこの池は、池底より温泉が常に湧出していた[1]ため、水温が年間を通じ摂氏約26°Cから28°Cの微温湯に保たれており、淡水であるにもかかわらず複数種の南方系海水魚・汽水魚が生息していたことから、特有の魚類生息地として1922年(大正11年)に国の天然記念物に指定された[2][3][4][5]。しかし1958年(昭和33年)の狩野川台風の影響および温泉湧出の停止等、生息域環境の変化により特有の魚類は見られなくなり[6]、1982年(昭和57年)に天然記念物の指定が解除された[7]。
浄ノ池(以下、浄の池と記述する)は指定解除後に埋め立てられ池自体が消滅しており、2020年現在、跡地には民間病院が建てられ往時を偲ぶものは残されていない。しかし、かつて浄の池は家屋の密集する市街地に位置する交通の便の良い珍しい天然記念物であったことから、温泉都市伊東温泉における代表的な名所として大正期から昭和中期にかけ多くの観光客が訪れる場所であった[3]。人々は池に閉じ込められた南海産の珍奇な魚類を眺め、天然のビオトープとも言える小さな水中の不思議な生物相に想いを巡らせた[8]。