紅海危機
ウィキペディア フリーな encyclopedia
紅海危機(こうかいきき)[44][45]とは、2023年10月19日、イランが支援するイエメンのフーシ派がイスラエルにミサイルと武装ドローンを発射し、ガザ地区への侵攻の停止を要求したことから始まった紅海の緊張状態、それに関する一連の出来事のことを指す言葉である[46]。それ以来、フーシ派は紅海で数十隻の商船や艦艇を拿捕したり、船舶などに対する空爆を開始し、米軍やその同盟軍によるフーシ派のミサイルサイロやその他の標的地への数百回に及ぶ空爆の原因となっている[47]。これらの紅海の危機的状況は、2023年パレスチナ・イスラエル戦争、イラン・イスラエル代理戦争(英語版)、イラン・アメリカ代理戦争(英語版)、イエメン危機(英語版)から来るものだとされている[48][49][50]。
紅海危機 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年パレスチナ・イスラエル戦争の余波(英語版)、イラン・イスラエル代理戦争(英語版)、イラン・アメリカ代理戦争(英語版)、イエメン危機(英語版)中 | |||||||
イエメン海岸線付近のフーシ派の活動を表す地図: フーシ派支配下のイエメン (SPC) イエメン政府 (PLC(英語版)) フーシ派による攻撃を受けた艦船 (赤) と フーシ派によりジャックされた艦船 (青) | |||||||
| |||||||
衝突した勢力 | |||||||
イエメン (SPC)[注釈 1] 抵抗の枢軸(英語版) | イスラエル | ||||||
指揮官 | |||||||
| |||||||
部隊 | |||||||
具体的な部隊:
| |||||||
戦力 | |||||||
イエメン軍 (SPC) アルヴァンド級フリゲート 1隻 情報収集船 1隻 |
海軍:
| ||||||
被害者数 | |||||||
フーシ派の発表: 14人拘束[36] |
3人死亡[注釈 5] MQ-9 リーパー3機が墜落[39] | ||||||
エジプト民間人6人が負傷、ベトナム人船員1人とフィリピン人船員2人が死亡、5人が負傷[注釈 6] イエメン市民1人死亡、8人負傷[42] | |||||||
2隻の船舶がフーシ派武装勢力にハイジャックされ、1隻と乗組員25人がフーシ派に拘束されたままだが、1隻は解放された。少なくとも20隻の船舶がフーシ派の攻撃で損害を受けた。英国所有の貨物船1隻が沈没した[43]。 |
国際的に認められたイエメンの国家機関である大統領指導評議会(英語版)(政府に値する)に反抗するフーシ派は2014年以降、紅海沿いのイエメン領土のかなりの範囲を支配している。2023年パレスチナ・イスラエル戦争が始まって間もなく、ハマースと同盟関係にある組織は、敵国に当たるイスラエルに対してミサイルや無人機を発射し始めた。フーシ過激派は、紅海、特にエジプト・スエズ運河への南の海上玄関口として機能し、世界経済のチョークポイントであるバブ・エル・マンデブ海峡で、様々な国の商船にも発砲している。このグループは、イスラエルと関係のあるあらゆる船舶を標的とみなし[51][52][53]、イスラエルがハマスに対する戦争をやめるまで民間の商船などであっても攻撃を続けると宣言している[46][54]。フーシ派は、イスラエル、米国、または英国に関連する船を標的にしたと述べたが、実際はフーシ派は多くの国の船を無差別攻撃した[47][55]。統計では2023年10月から2024年3月にかけて、フーシ派は紅海で60回以上船舶を攻撃した[55]。フーシ派の攻撃を避けるため、何百隻もの商船が南アフリカ周辺を航行するように航路を変更した[56]。
フーシ派の紅海攻撃は、多くの国から軍事的な反撃を受けている。2024年1月、国連安全保障理事会はフーシ派の攻撃を非難し、紅海の航行の自由を確認する決議2722を採択した[55]。米国主導の「繁栄の守護者作戦」は、紅海の海運を守るために開始された。この作戦には、イエメンのフーシ派支配地域(英語版)への爆撃や、紅海のフーシ派船舶への攻撃も含まれている。1月12日以来、米国と英国はフーシ派に対する連合軍のミサイル攻撃を主導しており、他の国々は独自にイエメン近海をパトロールしている[57]。5月、イエメン軍のヤヒヤ・サリー准将は「地中海のイスラエルの港に向かうあらゆる船舶を、到達可能なあらゆる海域で標的にする」と発表した[58]。