生物地球化学的循環
生態学や地球科学において、生態系の生物や無生物を循環する元素や分子の循環経路を指す用語 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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生物地球化学的循環(せいぶつちきゅうかがくてきじゅんかん、英: Biogeochemical cycle)は、生物地球化学において、地球上の物質が生物および無生物の間を移動し、循環していることを指す用語。単一の大きな循環経路があるという意味ではなく、長い時間スケールで見たとき、地球上の各物質が様々なルートで循環し、再利用されているということを総称して表す言葉である。全体として物質は再利用されるが、循環経路の途中には物質が長時間に渡って蓄積される場合もある。
地球上のすべての元素およびそれらから構成される個々の分子、鉱物、化学物質は生物地球化学的循環の一部である。生体を構成する物質(生体物質)も、この大きな循環経路の一部をなしている。循環経路には、生物的なもの(生物圏)とともに、水(水圏)や陸(岩石圏)、大気(大気圏)といった無生物的なものが含まれる。
地球上の物質量は厳密には一定ではない。絶え間なく隕石や宇宙塵として少量の物質が地球外から集積し続けており、一方、大気中からは水素とヘリウムが宇宙空間に放出され続けている。合計では地球の質量はわずかながら減少し続けている[1]。しかしこれは地球の総質量からすればごく微量であり、生物地球化学の議論で考慮されることは基本的にはない。したがって、地球上の物質は実質的には閉鎖系を構成しており、長い目で見ればすべて循環することとなる。
対して、エネルギーは太陽光の形で外部から随時地球に供給されており、一方、地球からは熱輻射などによってエネルギーが絶えず宇宙空間へ放出されている[2](地球のエネルギー収支の記事を参照)。地球のエネルギー収支は基本的にはゼロで、平衡状態を保っている。ただし、その平衡位置が短期的・長期的にずれることはしばしば起こっており、その原因としては太陽側の変動(例えば太陽の11年活動周期)および地球側の変動(例えば極域の氷床の崩壊、温室効果ガスの増加)がある。
現在の地球についてだけでなく、過去から現在に至るまでの地球上の物質循環の進化、およびその知見に基づく未来の予測も考察対象である。