絶縁耐力
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物理学において、絶縁耐力という用語は以下の意味を持つ。
- 絶縁性物質についていうときには、理想条件下において、純物質に対して絶縁破壊(絶縁性の喪失)を起こすことなく印加できる最大の電場を表す。
- 誘電体や電極を組み合わせて作られた特定の構造についていうときには、その構造が絶縁破壊を起こすことなく印加できる最大の電場(電圧を電極間距離で割ったもの)を表す。
物質の絶縁耐力はバルク物質に固有の性質であり、物質や電極の形状にはよらない。これは理想的な条件下で純物質を用いて測定される量である。絶縁破壊とは、電場によって物質中の電子が束縛を解かれることをいう。もともと絶縁体の中には環境放射線の効果で束縛を解かれた電子が一定数存在しているが、十分に強い電場を加えれば、自由になった電子は加速され、電気的に中性な原子や分子と衝突してそれらから電子を弾き出すことができるまでになる。このプロセスをアバランシェ降伏という。絶縁破壊は短時間で生じ(典型的には数ナノ秒)、その結果物体全体にわたって導電性の経路が形成され、破裂放電(瞬間的な電流増大)が起きる。固体物質にひとたび絶縁破壊が生じると、その絶縁性は低下するか完全に失われる。
具体的な構造についての見かけの絶縁耐力は、以下のような要因に影響される。