RD-58
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RD-58 (製造品番 11D58)は1960年代にソビエトのコロリョフ設計局 (OKB-1、現在のRKK エネルギア) が開発した液体燃料ロケットエンジンである。エンジンは世界初の二段燃焼サイクルエンジンであるS1.5400[1]を元に、ミハイル・メルニコフの管理下で有人月探査用ロケットN-1の5段目であるブロックDの動力として開発された[5]。ブロックDの派生型は現在でもプロトンやゼニットで使用されている[6]。N-1ロケット4号機ではロール方向の姿勢制御エンジンとして短ノズル化し燃焼室を変更したRD-58の派生型が使用された。
RD-58M | |
原開発国 | ソビエト連邦 |
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初飛行 | 1967年 |
設計者 | OKB-1、ウラジーミル・M・メルニコフ |
開発企業 | ヴォロネジ機械工場 |
目的 | 上段ロケット |
搭載 | N-1、プロトンK、プロトンM、ゼニット |
前身 | S1.5400 |
現況 | 製造中 |
液体燃料エンジン | |
推進薬 | 液体酸素 / RG-1 |
サイクル | 酸化剤リッチ二段燃焼サイクル |
構成 | |
燃焼室 | 1 |
ノズル比 | 189.0 |
性能 | |
推力 (vac.) | 79.46キロニュートン (17,860 lbf) |
推力重量比 | 28.33 |
燃焼室圧力 | 7.8 MPa |
比推力 | 349秒 |
Isp (vac.) | 353秒 |
燃焼時間 | 最大600秒間 |
寸法 | |
全長 | 2270 mm |
直径 | 1170 mm |
乾燥重量 | 300キログラム (660 lb) |
使用 | |
ブロックD | |
リファレンス | |
出典 | [1][2][3][4] |
RD-58は酸化剤に液体酸素、燃料にRG-1を使用する二段燃焼サイクルエンジンである。一方向にのみ傾斜できるジンバルに装荷された燃焼室と垂直型遠心ポンプ、補助ブースターポンプと酸素リッチガス発生器[7]から構成される[8]。近年の改良によりNPO Iskraで開発された軽量の炭素複合材による伸展式ノズルを備える[9][10][11]。
ブラン宇宙船には、RD-58Mの発展型で17D12と呼ばれる後継機を2基、主軌道修正エンジンとして使用していた。RG-1の代わりにシンチンを燃焼し、15回まで再着火可能である[12][13]。これはほぼ同じ比推力でブロック DM-2Mに搭載されるRD-58Sの原型となった[14]。製造元であるRKKエネルギアは、シンチンとRG-1の両方とも使用可能だとしている[1]。
現行の派生型は、推力がやや低下したものの比推力が向上したRD-58M (GRAU分類:11D58M)である。新型のRD-58MF (製造分類 11D58MF)が開発中である。全長を保つために推力を49.03キロニュートン (11,020 lbf)に下げる代わりに、膨張比を500:1に向上したことで比推力が20秒(推定372秒)改善された。ブロックDM-03に搭載される[15]。RD-58MFはクラスノヤルスク機械製造工場で製造される[16][17]。2014年11月のインタビューに対し、クラスノヤルスク機械製造工場化学部門の副部門長であるウラジーミル・コルミコフは、年内にブロックDMの製造は中断されるが、RD-58MFの開発は2015年には再開されると述べた[18]。