七支刀
奈良県にある国宝(美術品) / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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七支刀(しちしとう[注釈 1])は、奈良県天理市の石上神宮に伝来した古代の鉄剣である。全長74.8センチメートル、剣身の左右に段違いに3本ずつ、6本の枝刃を持つ。剣身に金象嵌の銘文が記されている。1953年(昭和28年)指定国宝。
由来は遠い昔に忘れ去られ、石上神宮では「六叉の鉾(ろくさのほこ)」と呼び、神田にその年はじめて苗を植える儀式に神を降ろす祭具として用いていた。1874年(明治7年)、同神宮大宮司となった菅政友は、水戸藩出身で『大日本史』編纂に参加した経歴のある歴史研究者でもあった。大宮司としてこの社宝をつぶさに観察する機会を得た菅は、剣身に金象嵌銘文が施されていることを発見し、剣の錆を落として銘文の解読を試みた。以来その銘文の解釈・判読を巡って研究が続いている。
『日本書紀』には七枝刀(ななつさやのたち)との記述があり、百済が倭に与えたのだという。その豪快な見た目から、フィクションの映画やアニメには強力な武器として描かれることが多いが、実際は実用的な武器として扱うのは難しいと思われ、権力や祭祀的な象徴として用いられたと考えられる。当時の中国との関係を記す現存の文字史料の一つであり、『好太王碑』とともに4世紀の倭に関する貴重な資料である。