全身麻酔
一種類以上の全身麻酔薬の投与により、生命維持に必要な反射の喪失を伴う、医学的に誘発された昏睡状態。 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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全身麻酔(ぜんしんますい、英: General anesthesia)は、痛覚刺激を与えても患者が覚醒しないように、人為的に誘発される意識喪失である[1]。この効果は、静脈内または吸入の全身麻酔薬を投与することで得られ、しばしば鎮痛剤および神経筋遮断薬が併用される。手術中は自発呼吸が十分でないことが多く、気道を保護するための介入が必要となることが多い[1]。全身麻酔は一般に手術室では患者にとって耐え難い痛みを伴う外科手術を可能にするために、集中治療室や救急外来では重症患者の気管挿管や機械換気を容易にするために実施される。
日本では、全身麻酔の目標は「麻酔の3要素」、すなわち鎮静・鎮痛・筋弛緩とされることが多い[2][3][4]。有害反射の抑制も加えて麻酔の4要素とされることもある[5][6]が、これは元はWoodbridgeらが1957年に提唱した麻酔深度の概念に遡ることができる[7]。英語圏では、意識消失、健忘、鎮痛、自律神経系の反射消失、場合によっては骨格筋の麻痺を達成することが全体目標とされることもある。すなわち、4要素ないしは5要素となっており、鎮静において意識消失と健忘が別個の評価項目となっていることによる。
患者や処置に最適な麻酔薬の組み合わせは、麻酔科医が患者、外科医、歯科医師、または手術処置を行う他の施術者と相談しながら選択する[8]。
現在では多様な気道確保器具が存在するが、かつては全身麻酔時の気道確保は、麻酔マスクないしは気管挿管に限られ、麻酔薬も吸入麻酔薬が主であったことから、後者が気管内麻酔法(intratracheal anesthesia)[9][10][11][12]と呼ばれていたが、現在はこの名称は、ほぼ用いられない[注釈 1]。