細胞
生物の基本構造 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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細胞(さいぼう、英: cell)はすべての生命体(英語版)の構造と機能の基本的な単位である[1]。すべての細胞は、細胞膜に包まれた細胞質で構成され、その中にはタンパク質、DNA、RNAなどの多くの高分子と、栄養素や代謝産物などの多くの小分子が含まれている[2]。細胞は複製、DNA修復やタンパク質合成などの機能を持つ。また、細胞は運動性を持ち、移動や生体内での輸送に関与する。
一般的に、細胞は生物の種類によって真核生物が持つ真核細胞と原核生物が持つ原核細胞に大別される(#細胞の種類を参照)[3]。真核細胞では、細胞質に細胞小器官(オルガネラ)と呼ばれる構造を持つ[4]。細胞が地球上に初めて出現したのは約40億年前と考えられている[5][6][7][8]。当初の細胞は原核細胞で、真核細胞はいくつかの原核細胞が共生関係を結ぶことで誕生したと考えられている[9]。ほとんどの真核細胞は直径1–100 μm(マイクロメートル)の大きさで、肉眼では見ることができず、光学顕微鏡を用いて観察される[10]。原核生物はさらに小さく、直径0.5–2.0 μm 程度である[11]。電子顕微鏡を用いることで、真核細胞の細胞小器官などの細胞構造や原核生物を詳細に観察することができる。
また生物には、細菌や繊毛虫のように体が単一の細胞で構成される単細胞生物と、植物や動物のように複数の細胞で構成される多細胞生物が存在する[3]。。単細胞生物は摂食や排泄、呼吸や運動などの生命維持に必要な役割を1つの細胞が担っている[12]。それに対し、多細胞生物では細胞は特殊化して特定の機能を持つように分化する[12]。
細胞は1665年にロバート・フックにより発見され、cell(原義は小さな部屋) と名付けられた[13]。この語は宇田川榕菴『理学入門植學啓原』(1833年)により日本語に持ち込まれ、「細胞」と和訳された[13]。
細胞生物学は細胞を研究する学問であり、ロバート・フックが1665年に細胞を発見したことに端を発する。1838年にはマティアス・ヤーコプ・シュライデンが「植物の基本的単位は細胞である」という考えを提唱し、翌1839年にはテオドール・シュワンがそれを動物にも拡張して「すべての生物は一つまたは複数の細胞から構成され、細胞はすべての生物の構造と機能の基本的な単位であり、すべての細胞は既存の細胞から生じる」という細胞説(細胞理論、cell theory)が生まれた[1][14]。細胞とその働きに関する研究は、DNAの発見、がんシステム生物学(英語版)、老化、発生生物学など、生物学の関連分野における他の多くの研究につながっている。